もし政府が月収40万円の家庭だったら


もし、日本政府の財政が、月の手取り40万円の家庭だとしたら、
そのうち、ローンの返済(国債費)が、15万円あります。
なので、可処分所得は、25万円です。


この25万円の範囲内で、毎月やりくりをしなければならない。。。はずです。

しかし、実際には、この家族は、毎月、37万円を生活費に使っています。
そして、毎月12万円、田舎へ仕送り(地方交付税等)をしています。


つまり、25万円しか支出できないはずなのに、37+12=49万円支出しているわけです。


なので、49ー25=24万円、毎月新たに借金をしています。


毎月15万円借金を返済しながら、毎月新たに24万円の借金をしているので、
24ー15=9万円、毎月、ローン残高が増えていることになります。


ちなみに、現在のローン残高は、5200万円です。
これが、今この瞬間もどんどん増えているわけです。


そして、この家庭では、祖父と祖母に加え、お父さんもお母さんも年老いて定年退職し、子供たちだけが働いて家計を支えています。
家族全体が高齢化してきているのです。
しかし、子供の数が少なく、子供たちの収入も伸び悩んでいるうえ、祖父と祖母は介護が必要になってきて、子供たちは、仕事と介護の両方をやらなければならず、どんどん疲れがたまってきています。


このまま家計の収入が減りつづけ、借金が増え続ければ、そのうち、利子分の返済すらできなくなります。
しかも、最近、日銀がゼロ金利解除などと言い出して、どうも利率が上がって、返さなければならない利子はさらに増えるかもしれない空気もあります。


このままでは、さすがにまずいと思ったので、この家庭では、田舎の親戚への仕送りを少しだけ減らさせてもらうことにしました。
そうしたら、「地方切り捨て」だとか、「格差を広げる」だとか、いろいろ非難されました。○| ̄|_


なぜなら、仕送り先の田舎も、たくさんの借金を抱えており、その借金を返済しなければならないからです。
この家庭の借金と仕送り先の田舎の借金を足し合わせると、ローン残高は、総計1億円を超えています。


手取りが月40万円しかないのに、合計1億円もの借金の面倒を見なければならないのです。
普通、手取り月40万の人が、1億円も借金するなんて、キチガイ沙汰です。
こんな額、単にハードワークするだけでは、とても返せそうにありません。
あらん限りの創意工夫をして、生産性を上げ、もっともっと稼がなければなりません。
でも、どんなに創意工夫しても、地球村の他の住人たちは、それ以上に創意工夫するので、競争になかなか勝てず、たいして収入が増えません。収入を増やすには、地球村の誰も出来ないほどのものすごい創意工夫とハードワークをしなければなりません。
だから、子供たちは、今日も必死でがんばっています。
でも、がんばっても、がんばっても、がんばっても、成果はほんの少ししか出ません。
ほんとうに、この努力が実り、いつか借金を返済しおわり、生活が楽になるときが来るのでしょうか。


こんな状況で、働いても働いても収入の増えない子供たちは、最近疲れ気味になってきました。
でも、どんなに疲れていても、子供たちは、今後もずっとずっと、働いて働いて働いて働いて働いて働いて、年老いた祖父母と、両親を養い、介護し、5200万円のローンを返済し続け、その上、田舎へたくさんの仕送りをし続けなければならないのです。


そのため、子供たちは、赤ちゃんを一人しか産まないことにしました。
祖父母や両親を養い、借金を返すためにハードワークし続けながら育てられる子供の数には限りがあるからです。
でも、定年退職して、人生をエンジョイしている両親は、もっと赤ちゃんを作れと言います。


子供たちは、なんだか、すっかりくたびれて、いろんなことがどうでもよくなってきました。


せめて、少しずつでもいいから、毎月ローン残高が減っていれば、いつかは、借金も返済し終わり、生活も楽になるだろうと、まだ未来に希望が持てるのですが。。。
現実は、月40万円しかない手取りと、返済しても返済しても増え続ける、総計1億円以上の借金です。
なんだか、返し終わるまでに、力尽きてしまいそうです。


ああ、なんてすばらしい時代に生まれたのでしょう!
ほんとうにありがとうございました。

ネタばらし

これは、数字自体は、どれもちゃんと財務省のホームページから取ってきた実際の数字ですが、それが引き起こす錯覚を楽しむネタ記事です。
種明かしをすると、これは、日本の「政府」を家計に例えるから、こんな近未来ホラー社会みたいになるんですね。
現実には、「日本経済」を家計に例えたほうが、より正確な実感値になります。
というわけで、こちらをどうぞ。日本経済が月収40万円の家庭だとしたら

あと、当たり前ですが、どんなに高額の借金であっても、超長期ローンにすれば、月々の返済は、たいしたことなくなるという見方もあります。たとえば、200年かけてちょっとずつ返せば、1年あたりの返済は、少しで済むという理屈です。人間と違って、国家の寿命は、何千年もありますから、無理して短期に返済する必要はなくって、焦らず、ゆっくり返せばいいわけです。ただ、利子すらも払えなくほど、借金が膨らんでしまうと、返済不能になりますが、いまのところ、そこまで借金が膨らんではいません。一般の家計と違って、政府は、巨大な借金を、低利で借りられるので、一般の家庭には耐えられないような巨大な借金にも耐えることができるんですよね。ただ、人口が減少していること、今後も経済成長を維持し続けられるかどうか分からないこと、今後の国債の利率がどうなるかわからないことなどから、見通しはそれほどクリアじゃないですね。

データ引用元

元ネタは財務省のホームページの「我が国の財政を家計にたとえたら・・・」より。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014.htm